米国における情報アクセシビリティ関連の法制度についての調査中間報告
石川准 2001年4月

目  次


1. 電子・情報技術(electronic and information technology)の定義

2. 米国の障害者の現状

3. 電子・情報技術のアクセシビリティに関連する米国の法律

3-1 概要

3-2 リハビリテーション法(Rehabilitation Act)

3-2-1 リハビリテーション法 第504条 連邦補助金および施策における差別の禁止
3-2-2 リハビリテーション法 1998年修正第508条 電子・情報技術
3-2-3 第508条の歴史
3-2-4 電子・情報技術アクセシビリティ基準(Electronic and Information Technology Accessibility Standards)
3-2-5 第508条の影響

3-3 アシスティブ・テクノロジー法(ATA:Assistive Technology Act of 1998)

3-4 障害を持つアメリカ人法(ADA:Americans with Disabilities Act)

3-5 電気通信法(Telecommunications Act of 1996) 第255条 障害者のアクセス

4. ブッシュ大統領のニュー・フリーダム・イニシアティブ(New Freedom Initiative)

5. アクセシビリティ関連の法律の制定、実施に関わる機関

5-1 アクセス委員会(Access Board)

5-1-1 電子・情報技術アクセシビリティ諮問委員会(EITAAC:Electronic and Information Technology Accessibility Advisory Committee)

5-2 共通役務庁(GSA:General Services Administration)

5-3 連邦ITアクセシビリティ・イニシアティブ(FITAI:Federal IT Accessibility Initiative)

5-4 米国障害者リハビリテーション研究所(NIDRR:National Institute on Disability and Rehabilitation Research)

5-4-1 エイブルデータ(ABLEDATA)
5-4-2 北米リハビリテーション工学・アシスティブ・テクノロジー協会(RESNA:The Rehabilitation Engineering and Assistive Technology Society of North America)

6. 付録

6-1 リハビリテーション法 1998年修正第508条 全訳

6-2 電子・情報技術アクセシビリティ基準 抄訳

7. 参考文献

7-1 書籍

7-2 ウェブサイト

7-2-1 法律
7-2-2 政府機関
7-2-3 一般





1. 電子・情報技術(electronic and information technology)の定義

リハビリテーション法
1998年修正第508条のガイドラインである電子・情報技術アクセシビリティ基準では、リハビリテーション法の中で使用されるinformation technology、およびelectronic and information technologyという用語を、次のように定義している。

information technology
データまたは情報の機械的な獲得、記憶、操作、管理、動作、制御、表示、切り替え、交換、伝達、受信に使用される全ての装置、装置の相互接続システム、サブシステム。コンピュータ、付属装置、ソフトウェア、ファームウェアおよび同様の処理手順、サービス(サポートサービスを含む)、および関連する資源が含まれる。

electronic and information technology
information technology、およびデータまたは情報の作成、変換、複製に使用される全ての装置、装置の相互接続システム、サブシステム。電話などの電気通信機器、情報キオスク、情報処理装置、WWWサイト、マルチメディア、コピー機やファクシミリのようなオフィス機器も含まれるが、これらに限定はされない。情報技術を内包し、それが製品に必須である機器でも、情報技術の主要機能がデータまたは情報の獲得、記憶、操作、管理、動作、制御、切り替え、伝達、受信でない機器は、electronic and information technologyの範疇に入らない。たとえば、温度自動調節、空調のようなHVAC(暖房、換気、エアコンディショニング)機器や医療機器は、情報技術が不可分である場合も範疇に入れない。

このレポートでは、上記の定義の範囲の電子・情報技術のアクセシビリティに関する法制度を中心に説明する。

2. 米国の障害者の現状

ジョージ・W・ブッシュ大統領が、2001年2月に提案したニュー・フリーダム・イニシアティブの中で、米国の全人口の約20%に当たる5400万人が、何らかの障害を持ち、うち約半数が、基本的な生活に影響する障害を持つとしている。障害を持つ成人の約70%は雇用されておらず、33%以上の成人が年収1万5000ドル以下で生活している。また、障害者のコンピュータ使用率、インターネットへのアクセス率は、健常者の約半分にとどまっている。

3. 電子・情報技術のアクセシビリティに関連する米国の法律

3-1 概要

米国の電子・情報技術のアクセシビリティに関する主な法律には、以下の4つがある。 リハビリテーション法は、連邦政府における障害による差別の禁止について扱っており、1998年修正第508条において、連邦政府職員および連邦政府のサービスを受ける一般市民の電子・情報技術へのアクセシビリティの確保を義務付けている。この第508条の電子・情報技術アクセシビリティ基準が2001年6月21日に施行されるため、現在もっとも注目されている。

アシスティブ・テクノロジー法は、州政府への資金援助によって、州政府が、障害を持つ個人に対してアシスティブ・テクノロジー機器やサービスを利用することを支援し、促進することを目的とする。

障害を持つアメリカ人法(ADA)は、雇用における差別禁止、不特定多数の集まる公共的施設における差別禁止、交通機関における差別禁止、聴覚障害者の間で一般的に用いられているTDD(Telecommunication Device for the Deaf)に対するリレーサービスについて規定している。

電気通信法は、電気通信事業全般に関する法律である。第255条において、電気通信設備および顧客宅内機器の製造業者および電気通信サービス業者に対して、それが容易に実現できる(readily achievable)場合、障害者が利用可能にすることを義務付けている。

リハビリテーション法およびアシスティブ・テクノロジー法によって、政府機関関連の電子・情報技術へのアクセシビリティの確保が明確にされているが、民間企業における電子・情報技術のアクセシビリティについては、現在、曖昧な点が多い。

ADAでは民間企業に対しても障害者差別を禁じているが、ADAそのものでは、インターネットをはじめとする電子・情報技術についてのアクセシビリティには、直接触れていない。このため、ADAが保証している「公共性のある施設」にインターネットが含まれるか否かが、現在、議論されている。

これらの各法律について、以降で詳述する。

3-2リハビリテーション法(Rehabilitation Act)

リハビリテーション法は、その第5章の第501条、502条、503条、504条、508条などにおいて、連邦政府における障害による差別を禁止している。このレポートの内容と関係があるのは、第504条および第508条である。特に第508条では、連邦政府の電子・情報技術へのアクセシビリティについて直接取り上げられている。

3-2-1 リハビリテーション法 第504条 連邦補助金および施策における差別の禁止
http://www.section508.gov/docs/workinvestact.htm

1973年のリハビリテーション法の大改正時に制定された第504条は、アメリカ合衆国の有資格障害者は、障害を持つという理由のみをもって、連邦政府の資金援助を受ける事業、活動および政府機関、郵政公社の運営する事業、施策において、その参加を阻まれたり、受けるべき利益を損失したり、差別されたりしてはならないと規定している。

第504条は、従来の法の慈善としての障害者支援の考え方から、障害者の人権保護・差別撤廃へと転換する重要な役割を果たした。第504条自体は、連邦が資金援助する事業へのアクセシビリティを保証するもので、ウェブなどの電子・情報技術へのアクセシビリティを直接に保証したものではない。しかし、この第504条が、連邦が資金援助する事業のサービス(プログラム)へのアクセシビリティの保証の土台となった。

3-2-2 リハビリテーション法 1998年修正第508条 電子・情報技術
http://www.section508.gov/docs/508law.html

第508条の日本語訳を、このレポートの「6-1 リハビリテーション法 1998年修正第508条 全訳」に記載している。

第508条では、連邦政府は、連邦政府の職員および一般市民に対して、アクセス委員会(Access Board)が作成したアクセシビリティ基準を保証しなければならないと規定している。また、連邦政府は、身体に障害がある職員が使用できないような電子事務機器を調達してはならないと規定している。

第508条は、直接には連邦政府にのみ適用されるが、アシスティブ・テクノロジー法によって、州政府にも適用範囲が広がっている。アシスティブ・テクノロジー法では、各州はアシスティブ・テクノロジーを普及するために連邦政府の補助金を受けることができるが、主管官庁の連邦教育省は、1999年6月に補助金交付の条件として第508条の順守を必要とする指針を明らかにしている。現在、全ての州がアシスティブ・テクノロジー法に基づく助成を受けているので、州政府もアクセシビリティ基準に従うことになる。

3-2-3 第508条の歴史

第508条は、1986年のリハビリテーション法の改正時に追加された。障害を持つ連邦政府職員が使用できない電子機器(electronic equipment)の調達を禁じるなど、この段階ではハードウェアを主眼とした法律になっている。

1987年教育省と共通役務庁が共同で第508条を実現するための「電子機器アクセシビリティ指針」を作成し、1998年共通役務庁が「電子機器アクセシビリティ指針」を政令として公示した。

その後、第508条はさらに1992年と1998年に改正されている。

1992年のリハビリテーション法の改正時に、第508条での「電子機器アクセシビリティ」を「電子技術および情報技術へのアクセシビリティ」と読み替えるとともに、従来のハードウェア重視の論点を見直し、ソフトウェア、インターフェース、オペレーティング・システム等を重要な電子・情報技術に含めた。しかし、その基準が曖昧であったため、各政府機関で対応にばらつきがあった。このため、1998年の労働力投資法(Workforce Investment Act)の中で第508条が改正され、連邦政府が開発、調達、維持、使用する電子・情報技術に対する障害者のアクセシビリティを保証することが義務付けられた。修正第508条では、アクセス委員会が明確なアクセシビリティ基準を2000年2月7日(この期限は、後に延期された)までに開発、公示し、連邦政府は、過度の負担(undue burden)とならない限り、それを遵守することが要求された。

アクセシビリティ基準は、アクセス委員会が設置した電子・情報技術アクセシビリティ諮問委員会(EITAAC:Electronic and Information Technology Accessibility Advisory Committee)により検討された。2001年3月31日に勧告案が提出され、60日間パブリックコメントが受け付けられた。その後、2000年8月7日以降に実施されるはずであった。

しかし、アクセシビリティ基準を満たす準備期間の短さとコストなどについてIT業界などから懸念の声が上がったこともあり、実施時期が延期された。2000年7月13日に制定された2001会計年度の軍建設政府支出金法に含まれるリハビリテーション法の修正条項で、アクセシビリティ基準の実施時期は、2000年8月7日から、アクセス委員会の最終的な基準の公示日より6ヶ月後に修正された。

最終的なアクセシビリティ基準が公示されたのは、2000年12月21日である。したがって、連邦政府が実際にこの基準を満たさなければならなくなるのは、その6ヶ月後の2001年6月21日以降になる。アクセシビリティ基準は、連邦調達規則の一部として運用される。

特に注目されているのが、ウェブサイトへのアクセシビリティに言及されている個所である。アクセシビリティ基準では、WAIのウェブ・アクセシビリティ・ガイドラインの優先度1の項目に加えて、スクリプティング言語や電子フォームについての要件などが追加されている。

3-2-4 電子・情報技術アクセシビリティ基準(Electronic and Information Technology Accessibility Standards)
http://www.access-board.gov/sec508/508standards.htm

電子・情報技術アクセシビリティ基準の概要が、以下のユニバーサロンのサイトに掲載されている。
http://www.mainichi.co.jp/universalon/report/200012/01.html

また、このレポートの「6‐2 電子・情報技術アクセシビリティ基準 抄訳」に、「サブパートA 通則」および「サブパートB技術基準」の一部の翻訳を掲載している。

3-2-5 第508条の影響

アクセス委員会は、2000年3月の経済予測の中で、電子・情報技術アクセシビリティ基準に従うために必要とされる経費を1億7700万ドルから10億6800万ドルの間と見積っている。(このうち連邦政府負担が8500万ドルから6億9100万ドルの間)

一方、このアクセシビリティ基準の実施による利益は、多く見積って4億6600万ドルとされている。詳細は、以下のウェブページに掲載されている。
ECONOMIC ASSESSMENT
http://www.section508.gov/docs/508-reg-assess.html


障害者に対するアクセシビリティを保証し就職を支援することが、福祉関連の経費削減につながり、国に経済的な利益をもたらすという主張に曖昧な部分があるため、以下のような批判記事も出ている。
FCW.com:The Section 508 disconnect
http://www.fcw.com/fcw/articles/2001/0219/pol-carl-02-19-01.asp


共通役務庁が2001年1月に公示した連邦調達規則の通達の中で、アクセシビリティ基準が適用される連邦政府の請負業者の数は約1万1000、そのうちの約65%が中小企業と見積られている。中小企業にとってアクセシビリティ基準を満たすためにかなりコストがかかることを認めながらも、この通達の中で、中小企業にもアクセシビリティ基準の遵守を求めることが改めて強調されている。
Federal Acquisition Regulation; Electronic and Information Technology Accessibility; Proposed Rule
http://www.access-board.gov/sec508/FARnotice.htm


第508条のアクセシビリティ基準の実施については、コスト増への不安が寄せられる反面、最大のコンシューマーである連邦政府向けの製品のアクセシビリティが改善されることで、民間向けの製品のアクセシビリティにも関心が払われ、またIT技術者が電子・情報技術のアクセシビリティの問題について再認識するものと期待されている。 たとえば、第508条の効果について以下のような記事が出ている。
障害者ユーザーがハイテクの進化を後押し(InfoWorld 2000年9月1日 日本語)
http://www.idg.co.jp/report/technology/backnumber/200009/tec20000926_01.html


3-3 アシスティブ・テクノロジー法(ATA:Assistive Technology Act of 1998)
http://www.itpolicy.gsa.gov/cita/AT1998.htm

アシスティブ・テクノロジー法は、州政府への資金援助によって、州政府が障害を持つ個人に対してアシスティブ・テクノロジー機器やサービスを利用することを支援し、促進することを目的にしている。

アシスティブ・テクノロジー法は、1988年に制定された障害者へのテクノロジー関連支援法(テック法)(Tech Act:Technology-Related Assistance for Individuals with Disabilities Act)を引き継ぎ、発展させるかたちで制定された。個人に対して直接補助金を出すようなしくみではなく、研究機関、企業、組織などの、以下のような活動に対して支援を行う。 アシスティブ・テクノロジー法を施行するために、全ての州は連邦から補助金を受けている。このことによって、州政府にも、連邦が資金援助している機関を対象としたリハビリテーション法 第508条が適用されることになる。

また、アシスティブ・テクノロジー法には、中小企業のアシスティブ・テクノロジーに関する開発、アシスティブ・テクノロジーとユニバーサル・デザインに関する調査・研究、リハビリテーション工学・技術のトレーニングへの支援も含まれる。

研究機関に対する支援は、米国障害者リハビリテーション研究所(NIDRR:National Institute on Disability and Rehabilitation Research)を通じて行われている。

3-4 障害を持つアメリカ人法(ADA:Americans with Disabilities Act)
http://www.usdoj.gov/crt/ada/publicat.htm

1990年7月に制定されたADAは、障害者への差別を禁じ、機会平等を保証している。雇用における差別禁止、不特定多数の集まる公共的施設における差別禁止、交通機関における差別禁止、聴覚障害者の間で一般的に用いられているTDDに対するリレーサービスから構成される。障害者の市民としての権利を保証し、差別を禁じる点において、リハビリテーション法 第504条と公民権法の発展形と言える。

ADAでは、「公共性のある施設」は、「身体に障害のある者が有効なコミュニケーションを行えるように、必要な場所にふさわしい補助装置とサービス」を設けなければならないとしている。ADAが制定された時点では、建築や交通のアクセシビリティを主に想定しており、インターネットにおけるアクセシビリティについては言及されていない。このため、ADAが保証している「公共性のある施設」がインターネットに及ぶかどうかが議論されている。

1996年の司法次官補Deval L. PatrickからHarkin上院議員へのウェブページのアクセシビリティに関する意見書の中では、以下のようにADAがインターネットに及ぶと判断されている。
Covered entities under the ADA are required to provide effective communication, regardless of whether they generally communicate through print media, audio media, or computerized media such as the Internet. Covered entities that use the Internet for communications regarding their programs, goods, or services must be prepared to offer those communications through accessible means as well.

意見書の全文のURL:
http://www.usdoj.gov/crt/foia/tal712.txt


また、2000年2月には、ADAを民間のウェブサイトに適用することの合憲性に関する聴聞会が下院司法委員会で開かれている。
Hearing on the Applicability of the Americans with Disabilities Act to Private Internet Sites
http://www.house.gov/judiciary/coop0209.htm


しかし、まだインターネットへの適用についての結論は出ていない。

その間にも、障害者のインターネットへのアクセスの不備を訴えた訴訟が各地で起こされており、2001年6月のリハビリテーション法 第508条のアクセシビリティ基準の実施とともに、その数の増大が見込まれている。

もっとも注目されたケースとして、1999年11月に全米視覚障害者連盟(NFB:National Federation of the Blind)がアメリカン・オンライン(AOL)を提訴した件が挙げられる。
NFB Sues AOL
http://www.nfb.org/bm/bm99/bm991201.htm


全米視覚障害者連盟は、米国最大のインターネット・サービス・プロバイダーであるAOLを、AOLのインターネット・サービスが、視覚障害者向けに開発されたスクリーン・リーダーに対応しておらず、視覚障害者が利用できないのは、「公共性のある施設」における障害者差別を禁止したADAに違反しているとして提訴した。しかし、AOLが同社のソフトウェアにスクリーン・リーダーとの互換性を持たせることなどに同意したため、全米視覚障害者連盟は2000年7月にAOLと和解した。

3-5 電気通信法(Telecommunications Act of 1996) 第255条 障害者のアクセス
http://www.fcc.gov/telecom.html

1996年2月に制定された電気通信法 第255条では、電気通信設備および顧客宅内機器の製造業者および電気通信サービス業者に対して、それが容易に実現できる(readily achievable)場合、電気通信機器および顧客宅内機器を障害者がアクセス・利用可能にすることを義務付けている。「容易に実現できる場合」とあるために、強制力がやや薄い。容易に実現できない場合は、障害者に対して代替機器、サービスの提供が求められている。

第255条の中で、第255条の実施のガイドライン制作がアクセス委員会に委任されており、これに基づいて電気通信法アクセシビリティ・ガイドラインが制作され、1998年3月5日に公示された。
Telecommunications Act Accessibility Guidelines
http://www.access-board.gov/telecomm/html/telfinal.htm


電気通信法アクセシビリティ・ガイドラインは、電気通信設備および顧客宅内機器についてのアクセシビリティ、ユーザビリティおよび互換性を確保するのに必要な入力、出力などの機能についての要件を定めたものである。

以下の4つのサブパートから構成されている。 電気通信設備および顧客宅内機器の製造業者および電気通信サービス業者に対して、それが容易に実現できる場合はサブパートCを、そうでない場合はサブパートDを容易に実現できる範囲内で遵守することを求めている。

第255条では、インターネットには言及されていない。また、電気通信法アクセシビリティ・ガイドライン中でも、インターネットは、製品の情報提供の代替フォーマットの1つとして言及されるにとどまっている。

1999年9月に連邦通信委員会(FCC:Federal Communications Commission)が発表した第255条の報告・命令・調査告知書には、電気通信と等価のインターネット電話やコンピュータ・ベースの装置に対して第255条を適用するかどうかの調査告知も含まれている。最終的な結論は、まだ出ていない。
FCC Report & Order Implementing Section 255
http://www.section508.gov/docs/section255.html


連邦通信委員会の障害者権利局(Disability Rights Office)に、第255項に関する公告やニュース・リリース、訴訟などの情報が掲載されている。
SECTION 255
http://www.fcc.gov/cib/dro/section255.html


4. ブッシュ大統領のニュー・フリーダム・イニシアティブ(New Freedom Initiative)
http://www.whitehouse.gov/news/freedominitiative/freedominitiative.html

2001年2月ジョージ・W・ブッシュ大統領は、障害者を支援するためのニュー・フリーダム・イニシアティブを提案した。ニュー・フリーダム・イニシアティブは、テクノロジー、教育、雇用、住宅、交通問題などについて取り上げている。

アシスティブ・テクノロジーとユニバーサル・デザインの強化のためには、以下の提案がされている。 ICDRは、連邦の各政府機関のリハビリテーション研究・開発事業をコーディネートするために設立されたが、現在はオーソリティがなく、予算も付いていない。
ICDRのウェブサイトのURL:
http://www.ncddr.org/icdr/index.html
5. アクセシビリティ関連の法律の制定、実施に関わる機関

5-1 アクセス委員会(Access Board)
http://www.access-board.gov/

アクセス委員会は、障害者のアクセシビリティ問題を専門とする独立の連邦機関である。アクセシビリティ・ガイドラインの作成、技術支援、トレーニングなどを行う。アクセシビリティ委員は、連邦の各省庁の高官と、大統領により指名された公共メンバー約30名から構成される。

1968年の建築物障壁除去法(ABA:The Architectural Barriers Act)の制定後、この法がきちんと遵守されず、連邦施設の設計のアクセシビリティ基準が生まれなかったため、基準を作成し、建築物障壁除去法を強化する政府機関が必要となった。この目的で、1973年のリハビリテーション法の改正時に、第502条によってアクセス委員会が作られた。当初は、交通障壁基準遵守委員会(Architectural and Transportation Barriers Compliance Board)という名前で呼ばれ、主に連邦施設や交通機関のアクセシビリティの強化と技術支援を行っていた。

1990年に障害を持つアメリカ人法が制定されると、アクセス委員会が、この法でカバーされた施設や交通機関のためのアクセシビリティ・ガイドラインを制作した。さらに、1996年に電気通信法が制定されると、通信機器のアクセシビリティ・ガイドライン制作が、1998年にリハビリテーション法 第508条が修正されると、連邦政府が提供する電子・情報技術に対するアクセシビリティ・ガイドライン制作がアクセス委員会に委ねられた。また、これらのガイドラインに基づく技術支援やトレーニング、ガイドラインを支援・維持するための調査も、アクセス委員会に委任されている。

5-1-1 電子・情報技術アクセシビリティ諮問委員会(EITAAC:Electronic and Information Technology Accessibility Advisory Committee)
http://www.trace.wisc.edu/docs/eitaac/

電子・情報技術アクセシビリティ基準作成のために、アクセス委員会によって設置された諮問委員会。全米視覚障害者基金や全米視覚障害者連盟のような障害者団体、トレース・センターのような研究機関、IBM、マイクロソフト、サンマイクロシステムズのような民間企業、WAIなど27組織から構成される。

5-2 共通役務庁(GSA:General Services Administration)
http://www.gsa.gov/

連邦政府のサービス、施設、製品の調達、維持管理などを行う独立機関。アクセス委員会と共に、政府機関に対して第508条に関わる技術支援を行っている。

5-3 連邦ITアクセシビリティ・イニシアティブ(FITAI:Federal IT Accessibility Initiative)
http://www.section508.gov/

FITAIは政府機関をまたがる委員会で、第508条の実施のための技術支援を行う。共通役務庁がコーディネートしている。FITAIのウェブサイトには、第508条およびアクセシビリティ関連の米国の法律の情報がまとめて掲載されている。FITAIは、政府機関のウェブマスター向けの第508条に関するアクセシビリティ技術トレーニングなども実施している。

5-4 米国障害者リハビリテーション研究所(NIDRR:National Institute on Disability and Rehabilitation Research)
http://www.ed.gov/offices/OSERS/NIDRR/

NIDRRは教育相に属し、就業、公衆衛生、アクセシビリティ、リハビリテーションなどの障害者研究を全国レベルで総合的に組織、推進している。また、全米の研究・訓練センターやリハビリテーション工学センターへの資金供与、研究開発事業や情報収集・提供事業の分野の委託助成等を行っている。

NIDRRの助成により、SEDL:Southwest Educational Development Laboratoryが米国障害研究普及センター(NCDDR:National Center for the Dissemination of Disability Research)を運営している。
http://www.ncddr.org/

また、NIDRRの助成例として有名なものに、エイブルデータ(ABLEDATA)や、北米リハビリテーション工学・アシスティブ・テクノロジー協会の技術支援プロジェクトなどがある。

5-4-1 エイブルデータ(ABLEDATA)
http://www.abledata.com/

1万8000以上のアシスティブ・テクノロジー製品の包括的なデータベース。メーカー名、価格、詳細説明、カスタマイズ情報などを含む。ウェブで検索できる。

5-4-2 北米リハビリテーション工学・アシスティブ・テクノロジー協会(RESNA:The Rehabilitation Engineering and Assistive Technology Society of North America)
http://www.resna.org/

RESNAは北米のリハビリテーション工学、福祉工学などの関係者からなるNPOの協会で、各州と準州のアシスティブ・テクノロジー・プログラムに対する技術支援を行う。

6. 付録

リハビリテーション法1998年修正第508条の全文の日本語訳と、電子・情報技術アクセシビリティ基準の抄訳を以下に記す。

6-1 リハビリテーション法 1998年修正第508条 全訳

第508条 電子・情報技術

(a) 連邦の省および政府機関に対する要求
(1) アクセシビリティ
(A) 電子・情報技術を開発、調達、維持、使用する場合
電子・情報技術を開発、調達、維持、使用する場合、連邦政府の省および米国郵政公社を含む政府機関は、過度の負担とならない限り、電子・情報技術が、その媒体の種類を問わず、以下であることを保証しなければならない。
(i) 連邦政府に雇用されている障害を持つ個人が、障害を持たない連邦政府の雇用者と同等に情報およびデータにアクセスし、使用することを保証しなければならない。
(ii) 連邦政府の省および政府機関の情報・サービスを求める障害を持った公衆が、障害を持たない公衆と同等に情報およびデータにアクセスし、使用することを保証しなければならない。

(B) 代替手段提供の努力
(2) 節のアクセス委員会によって発表された基準を満たす電子・情報技術の開発、調達、維持、使用が、過度の負担となる場合、連邦の省および政府機関は、(1)節の範囲の障害を持つ個人が、情報およびデータを使用できるようにするアクセスの代替手段を提供しなければならない。

(2) 電子・情報技術基準
(A) 概要
1998年の修正リハビリテーション法の制定日より18ヶ月以内に、交通障壁基準遵守委員会(第508条ではアクセス委員会と呼ぶ)は、関係する研究結果に基づく協議を含めた教育省長官、共通役務庁庁官、商務省長官、連邦通信委員会議長、国防省長官、およびアクセス委員会が妥当とみとめた他の連邦の省または政府機関の長と協議の上、および障害を持つ個人を代表する組織を含む、適切な公私の機関または組織との協議の上、以下について説明した基準を公示・出版しなければならない。
(i) 第508条のためのelectronic and information technology の定義。この定義は、1996年クリンガー-コーエン法(40 U.S.C. 1401(3)) 5002条で指定されたinformation technology の定義と矛盾しないものとする。
(ii) (1)節で述べられている要件を満たすために必要な技術的・機能的な基準

(B) 再検討と修正
アクセス委員会は、電子・情報技術の技術的な進歩と変化を反映するために、(A)項で求められる基準を定期的に再検討し、必要に応じて修正しなければならない。

(3) 基準の包含
アクセス委員会が(2)節で求められる基準を公示した後6ヶ月以内に、連邦調達調整審議会は、その基準を包含するように連邦調達規則を改訂しなければならない。連邦の各省および政府機関は、その省、政府機関の管理下の連邦調達方針および指示を、基準を包含するように改訂しなければならない。また、アクセス委員会が(2)節で求められる基準を修正した後6ヶ月以内に、連邦の各省および政府機関は、調達方針および指示を、修正を包含するように改訂しなければならない。

(4) 調達計画
連邦の省および政府機関は、アクセス委員会が(2)節に基づき公示した調達に関する基準を履行することが過度の負担となると判断した場合、履行が過度の負担となる理由を書面で明らかにしなければならない。

(5) 国家安全保障システムに対する免除
第508条は、クリンガー−コーエン法 第5142条で定義されている国家安全保障システムに対しては適用されない。

(6) 解釈
(A) 機器
連邦政府が電子・情報技術を介して、公衆に情報またはデータへのアクセスを提供する場合、第508条が、以下のことを連邦の省および政府機関に求めるものとは解釈されない。
(i) 電子・情報技術が公衆に提供される場所以外で、(1)節に基づき連邦政府が所有する機器を、障害を持つ個人がアクセス、使用可能にすること。
(ii) 電子・情報技術が公衆に提供される場所以外で、(1)節に基づき障害を持つ個人のアクセス、使用のための機器を購入すること。

(B) ソフトウェアおよび周辺機器
(2)節に基づきアクセス委員会が公示する基準を満たすために必要な場合を除き、障害を持たない連邦職員のワークステーションに、特殊なアクセシビリティ関連のソフトウェアや周辺機器を設置することを求めない。

(b) 技術支援
共通役務庁庁官およびアクセス委員会は、第508条の要求に関連する個人ならびに連邦の省および政府機関に対して、技術支援を行わなければならない。

(c) 政府機関の見積
1998年のリハビリテーション法の制定日より6ヶ月以内に、連邦の各省および政府機関の長は、サブセクション(a)(1)に記述されている障害を持つ個人が、その省および政府機関の電子・情報技術に、どの程度アクセス可能で、使用可能であるかを、同サブセクションで記述されている障害を持たない個人の場合と比較して見積り、その見積りを含む報告書を司法長官に提出しなければならない。

(d) 報告
(1) 中間報告
1998年のリハビリテーション法の制定日より18ヶ月以内に、司法長官は、サブセクション(a)(1)に記述されている障害を持つ個人が、連邦政府の電子・情報技術に、どの程度アクセス可能で、使用可能であるかの情報と勧告を含む報告書を大統領に提出しなければならない。

(2) 隔年報告
1998年のリハビリテーション法の制定日より3年以内、そして以降2年ごとに、司法長官は、連邦の省および政府機関の第508条の遵守状況についての情報と勧告を含む報告書を作成し、大統領と連邦議会に提出しなければならない。この報告書には、サブセクション(f)に基づく個人訴訟を含めるものとする。

(e) 協調
連邦の省および政府機関(アクセス委員会、雇用機会均等委員会、共通役務庁を含む)の各々の長は、司法長官がサブセクション(c)の見積りおよびサブセクション(d)の報告を実施するための判断に必要な情報を提供しなければならない。

(f) 施行
(1) 一般
(A) 訴訟
アクセス委員会がサブセクション(a)(2)に記述されている最終基準を公示した日より6ヶ月以降、全ての障害を持つ個人は、電子・情報技術の提供に関してサブセクション(a)(1)を遵守しなかったことを申し立てて連邦の省または政府機関を告訴することができる。

(B) 適用性
このサブセクションは、アクセス委員会がサブセクション(a)(2)に記述されている最終基準を公示した日より6ヶ月以降に連邦の省または政府機関が調達した電子・情報技術にのみ適用される。

(2) 行政上の申し立て
(1)節に基づく訴訟は、連邦の省または政府機関に対して法律の非遵守を申し立てるものとする。訴訟を起こされた連邦の省または政府機関は、第504条の施行で連邦が運営するプログラムまたは活動における差別の申し立てを解決するために規定された訴訟の手続きを踏まなければならない。

(3) 市民訴訟
第505条(a)(2) および第505条(b)で説明されている救済策、手続き、および権利は、(1)節に基づく訴訟を起こした障害を持つ全ての個人にも適用されなければならない。

(g) 他の連邦法への適用
第508条は、障害を持つ個人に第508条よりも強力か同等な保護を提供する連邦法のいかなる条項(第501条から第505条を含む)において、さもなければ適用できる権利、救済策、手続きを制限してはならない。

6-2 電子・情報技術アクセシビリティ基準 抄訳

第508条の電子・情報技術アクセシビリティ基準のうち、「サブパートA 通則」および「サブパートB 技術基準」の「1194.21 ソフトウェア・アプリケーションおよびオペレーティング・システム」「1194.22 ウェブベースのイントラネット・インターネット情報およびアプリケーション」の翻訳を以下に記す。

サブパートA 通則
1194.1 目的
このパートの目的は、1973年リハビリテーション法 修正第508条(29 U.S.C. 794d)の施行にある。第508条では、連邦の政府機関が電子・情報技術を開発、調達、維持、使用するときに、それが政府機関に過度の負担とならない限り、障害を持った個人が、障害を持たない個人と同等に電子・情報技術にアクセスし、使用できることを、保証しなければならないと規定している。また、第508条では、連邦の政府機関の情報またはサービスを探す公衆の一員である個人が、障害を持たない個人と同様に情報およびデータにアクセスし、使用することを、それが過度の負担とならない限り、保証しなければならないとしている。

1194.2 適用
(a) このパートで言及される製品は、このパートの適用可能な全ての規定を遵守しなければならない。電子・情報技術を開発、調達、維持、使用する場合、各政府機関は、それが過度の負担とならない限り、製品がこのパートの適用可能な全ての規定を遵守していることを保証しなければならない。
(1) このパートの規定を遵守することが過度の負担になる場合、政府機関は、障害を持つ個人に、情報およびデータにアクセスできる代替手段を提供しなければならない。
(2) 製品の調達時に、政府機関が、このパートの規定を遵守することが過度の負担になると判断した場合、調達を担当する政府機関は、それぞれの規定を遵守することが、なぜ過度の負担か、どの程度の負担かを書面で明らかにしなければならない。

(b) 製品の調達時、各政府機関は、このパートの規定を遵守する製品が市販されているか、もしくは政府の依頼により開発されている場合、それらの製品を調達しなければならない。政府機関は、基準を全て満たす製品が市販されていないからという理由で、製品が市販されていないと主張することはできない。このような場合、基準全体ではなくともその一部を満たす製品が市販されているときは、もっとも基準を満たしている製品を調達しなければならない。

(c) 1194.3(b)の場合を除き、このパートは、政府機関が直接に開発、調達、維持、使用する電子・情報技術、および、政府機関との請負契約で、政府機関からサービスの実施や製品の設置のために製品の使用を要求されるか、かなりの部分で使用を要求されるような契約において、請負業者が使用する電子・情報技術に適用される。

1194.3 一般的例外
(a) 政府機関が扱う電子・情報技術のうち、諜報活動に関わって機能、操作、使用する電子・情報技術、国家の安全保障に関わる暗号化活動、軍の指揮、管理、兵器または兵器システムに不可欠の機器、軍または諜報の直接的な遂行に重要なシステムには、このパートは適用されない。軍または諜報の直接的な遂行に重要なシステムには、ルーチン管理と業務のアプリケーション(給与、財務、物流、人事管理アプリケーションを含む)は含まれない。

(b) このパートは、請負業者が契約で付帯的に得た電子・情報技術には適用されない。

(c) このパートの規定を遵守するために必要とされる場合を除き、このパートは、障害を持たない連邦職員のワークステーションに、特殊なアクセシビリティ関連のソフトウェアをインストールしたり、アシスティブ・テクノロジー装置を設置したりすることを要求するものではない。

(d) 政府機関が、電子・情報技術によって公衆が情報またはデータにアクセスできるようにする場合、政府機関は、電子・情報技術が公衆に提供される以外の場所で、政府機関が所有する製品を、障害を持つ個人がアクセス、使用できるようにすることを要求しない。また、電子・情報技術が公衆に提供される以外の場所で、障害者がアクセス、使用するための製品を購入することを要求しない。

(e) このパートは、製品あるいはその構成部分の性質を根本的に変更することを要求するものとは解釈されない。

(f) 保守、修繕、あるいは臨時の機器の監視を行うサービス職員のみが出入りする場所にある製品に対しては、このパートを遵守することを要求しない。

サブパートB - 技術基準
1194.21 ソフトウェア・アプリケーションおよびオペレーティング・システム
(a) キーボードを持つシステムでソフトウェアが動作するように設計される場合、キーボードから製品の機能を実行し、その機能自体と実行結果をテキストで認識できなければならない。

(b) アプリケーションは、アクセシビリティ機能と認められる他の製品のアクティブな機能を、妨害、あるいは無効にしてはならない。ここでのアクセシビリティ機能とは、業界基準に従って開発・文書化された機能とする。また、アクセシビリティ機能のアプリケーション・プログラミング・インターフェースが製造業者によって文書化され、製品開発者に利用可能な場合、アクセシビリティ機能と認められるオペレーティング・システムのアクティブな機能を、アプリケーションが、妨害、あるいは無効にしてはならない。

(c) 入力フォーカスの変化に伴い、インタラクティブなインターフェース要素の中でカレントのフォーカスを画面上で明瞭に示すインジケータを提供しなければならない。フォーカスはプログラム的に公開され、アシスティブ・テクノロジーがフォーカスとフォーカスの変化を捉えることができるようにしなければならない。

(d) その要素のID、操作、状態を含むユーザー・インターフェース要素についての十分な情報を、アシスティブ・テクノロジーで利用できなければならない。イメージでプログラム要素を表現する場合は、そのイメージが伝える情報を、テキストでも入手できなければならない。

(e) ビットマップ・イメージが、コントロール、ステータス・インジケータ、または他のプログラム要素の識別に使用される場合、これらのイメージに割り当てられる意味は、アプリケーションの動作の中で首尾一貫していなければならない。

(f) テキスト情報については、オペレーティング・システム全体を通してテキスト表示機能を提供しなければならない。少なくともテキストの内容、テキストの入力キャレットの位置、テキストの属性の情報を提供しなければならない。

(g) アプリケーションは、ユーザーが選択したコントラストとカラー選択、および、他の個々の表示属性を上書きしてはならない。

(h) アニメーションが表示される場合、ユーザーがオプションで、その情報を静止して表示するモードを、少なくとも1つ提供しなければならない。

(i) カラーコーディングを、情報の伝達、アクションの指示、回答の要求、またはビジュアルな要素を識別する唯一の手段として使用してはならない。

(j) その製品がユーザーにカラー調整やコントラスト設定を許す場合、コントラストレベルに幅のある多様なカラー選択ができなければならない。

(k) ソフトウェアには、2ヘルツ 以上または55ヘルツ以下の周波数でフラッシュまたは点滅するテキスト、オブジェクト、その他の要素があってはならない。

(l) 電子フォームの使用時、そのフォームで、アシスティブ・テクノロジーを使用する人々が、情報、フィールド要素、命令、指示を含めフォームを完了、送信するために必要な機能を使用できるようにしなければならない。

1194.22 ウェブベースのイントラネット、インターネット情報およびアプリケーション
(a) 全ての非テキスト要素には、テキスト等価物を提供しなければならない。(たとえば、alt、longdescによるか、または要素のコンテンツ内などで記述する。)

(b) マルチメディアのプレゼンテーションと等価の代替物は、全て、プレゼンテーションと同期しなければならない。

(c) ウェブページは、カラーで伝達される全ての情報が、コンテキストやマークアップなどによって、色なしでも利用できるように設計されなければならない。

(d) 文書は、関連付けられているスタイルシートがなくても、判読できるように構成されなければならない。

(e) サーバー・サイド・イメージマップの全てのアクティブな領域には、詳細なテキスト・リンクを付けなければならない。

(f) 利用可能な幾何学形で領域を定義することが不可能な場合を除き、サーバー・サイド・イメージマップの代わりにクライアント・サイド・イメージマップを提供しなければならない。

(g) データ・テーブルの場合、行と列のヘッダが識別できなければならない。

(h) 行と列のヘッダが論理的に2階層以上に分かれるデータ・テーブルの場合、マークアップを使用して、データ・セルとヘッダ・セルを関連付けなければならない。

(i) フレームには、テキストのタイトルを付けて、容易に識別、ナビゲーションできるようにしなければならない。

(j) ページは、2ヘルツ以上または55ヘルツ以下の周波数で画面が点滅するのを避けるようにデザインされなければならない。

(k) 他の方法によって、この基準を満たすことができない場合、同等の情報と機能を持つテキストのみのページを提供し、ウェブサイトが、このパートの規定に従うようにしなければならない。元のページが変更された時はいつでも、テキストのみのページのコンテンツも更新されなければならない。

(l) コンテンツの表示、あるいはインターフェース要素の作成に、スクリプティング言語を使用する場合、スクリプトによって提供される情報と、アシスティブ・テクノロジーによって判読可能なテキストが同等の機能を持たなければならない。

(m) ウェブページのコンテンツを解釈するために、クライアント・システムにアプレット、プラグイン、その他のアプリケーションを必要とするウェブページでは、1194.21(a)から(l)を遵守するプラグインまたはアプレットへのリンクを、そのページに付けなければならない。

(n) 電子フォームがオンラインで完結するように設計されている場合、そのフォームで、アシスティブ・テクノロジーを使用する人々が、情報、フィールド要素、命令・指示を含めフォームを完了・送信するために必要な機能を使用できるようにしなければならない。

(o) ユーザーがナビゲーション・リンクの繰り返しをスキップする方法を、提供しなければならない。

(p) 決められた時間内の応答が必要な場合、ユーザーに警告を出し、ユーザーがもっと時間が必要なことを知らせるために十分な時間を取らなければならない。


1194.22: 1の注
委員会は、このセクションの(a)節から(k)節を、WWWコンソーシアムのウェブ・アクセシビリティ・イニシアティブが、1999年5月5日に発表したウェブ・コンテンツ・アクセシビリティ・ガイドライン 1.0(WCAG 1.0)のチェックポイントの優先度1と一致するものと解釈する。

セクション1194.22の項 WCAG 1.0 チェックポイントの対応表
(a) 1.1
(b) 1.4
(c) 2.1
(d) 6.1
(e) 1.2
(f) 9.1
(g) 5.1
(h) 5.2
(i) 12.1
(j) 7.1
(k) 11.4


2. このセクションの(l)、(m)、(n)、(o)、(p)節は、ウェブ・コンテンツ・アクセシビリティ・ガイドライン 1.0とは異なる。ウェブ・コンテンツ・アクセシビリティ・ガイドラインのレベルA(優先度1の全てのチェックポイント)に従うウェブページは、さらに、このセクションの(l)、(m)、(n)、(o)、(p)節にも従わなければならない。
ウェブ・コンテンツ・アクセシビリティ・ガイドライン 1.0は、
http://www.w3.org/TR/1999/WAI-WEBCONTENT-19990505で入手できる。


7. 参考文献

7-1 書籍

Web Accessibility for People With Disabilities
著者:Michael G. Paciello, Mike Paciello
出版社:CMP Books
発行年:2000年
ISBN:1929629087


Computer and Web Resources for People With Disabilities: A Guide to Exploring Today's Assistive Technology
著者:Alliance for Technology Access
出版社:Hunter House
発行年:2000年
ISBN:0897933001


アメリカ初の障害者差別禁止法はこうして生まれた
著者:リチャード・K. スコッチ 監訳:竹前 栄治
出版社:明石書店
発行年:2000年
ISBN:4750313033
内容:原著は1984年発行。リハビリテーション法 第504条の成立の経緯を通して米国の障害者政策の変化を記述している。


ADA(障害をもつアメリカ人法)の衝撃
編集:八代 英太、冨安 芳和
出版社:学苑社
発行年:1991年
ISBN:4761491116
内容:国内外の研究者・障害者運動の活動がそれぞれの視点からADAについて論じている。第4章「コンピュータ技術者からみたリハ法・ADA」で太田 茂氏がADAおよびリハビリテーション法 第508条の電子機器アクセシビリティについて記述している個所が、特にこのレポートにつながりがある。


アメリカ障害者法―全訳
翻訳:斎藤 明子
出版社:現代書館
発行年:1991年
ISBN:4768433766


7-2 ウェブサイト

本文中に記載したURLも、改めて記載する。

7-2-1 法律

リハビリテーション法 第504条(Section 504 of the Rehabilitation Act)
http://www.section508.gov/docs/workinvestact.htm


リハビリテーション法 1998年修正第508条(Section 508 of the Rehabilitation Act)
http://www.section508.gov/docs/508law.html


電子・情報技術アクセシビリティ基準(Electronic and Information Technology Accessibility Standards)
http://www.access-board.gov/sec508/508standards.htm


電子・情報技術アクセシビリティ基準の概要(日本語。ユニバーサロンに掲載)
http://www.mainichi.co.jp/universalon/report/200012/01.html


リハビリテーション法 1998年修正第508条の経済評価(LECTRONIC AND INFORMATION TECHNOLOGY ACCESSIBILITY STANDARDS SECTION 508 OF THE REHABILITATION ACT AMENDMENTS OF 1998 ECONOMIC ASSESSMENT)
http://www.section508.gov/docs/508-reg-assess.html


FCW.com:508条の断絶(The Section 508 disconnect)
http://www.fcw.com/fcw/articles/2001/0219/pol-carl-02-19-01.asp


電子・情報技術に関する連邦調達規則の規則案(Federal Acquisition Regulation; Electronic and Information Technology Accessibility; Proposed Rule)
http://www.access-board.gov/sec508/FARnotice.htm


InfoWorld 障害者ユーザーがハイテクの進化を後押し(InfoWorld 2000年9月1日)
http://www.idg.co.jp/report/technology/backnumber/200009/tec20000926_01.html


アシスティブ・テクノロジー法(ATA:Assistive Technology Act of 1998)
http://www.itpolicy.gsa.gov/cita/AT1998.htm


障害を持つアメリカ人法(ADA:Americans with Disabilities Act)
http://www.usdoj.gov/crt/ada/publicat.htm


司法次官補Deval L. PatrickからHarkin上院議員へのウェブページのアクセシビリティに関する意見書(The Honorable Tom Harkin United States Senate Washington, D.C. 20510-1502)
http://www.usdoj.gov/crt/foia/tal712.txt


ADAを民間のウェブサイトに適用することの合憲性に関する聴聞会(Hearing on the Applicability of the Americans with Disabilities Act to Private Internet Sites)
http://www.house.gov/judiciary/coop0209.htm


全米視覚障害者連盟がAOLを提訴(NFB Sues AOL)
http://www.nfb.org/bm/bm99/bm991201.htm


電気通信法(Telecommunications Act of 1996)
http://www.fcc.gov/telecom.html


電気通信法アクセシビリティ・ガイドライン(Telecommunications Act Accessibility Guidelines)
http://www.access-board.gov/telecomm/html/telfinal.htm


連邦通信委員会の第255条の施行に関する報告・命令(FCC Report & Order Implementing Section 255)
http://www.section508.gov/docs/section255.html


障害者権利局 ホームページ:第255条(Disabilities Rights Office Homepage: SECTION 255)
http://www.fcc.gov/cib/dro/section255.html


New Freedom Initiative
http://www.whitehouse.gov/news/freedominitiative/freedominitiative.html


7-2-2 政府機関

アクセス委員会(Access Board)
http://www.access-board.gov/


電子・情報技術アクセシビリティ諮問委員会(EITAAC:Electronic and Information Technology Accessibility Advisory Committee)
http://www.trace.wisc.edu/docs/eitaac/


共通役務庁(GSA:General Services Administration)
http://www.gsa.gov/


連邦ITアクセシビリティ・イニシアティブ(FITAI:Federal IT Accessibility Initiative)
http://www.section508.gov/


米国障害者リハビリテーション研究所(NIDRR : National Institute on Disability and Rehabilitation Research)
http://www.ed.gov/offices/OSERS/NIDRR/


米国障害研究普及センター(NCDDR:National Center for the Dissemination of Disability Research)
http://www.ncddr.org/


エイブルデータ(ABLEDATA)
http://www.abledata.com/

北米リハビリテーション工学・アシスティブ・テクノロジー協会(RESNA:The Rehabilitation Engineering and Assistive Technology Society of North America)
http://www.resna.org/


障害研究に関する政府機関連絡委員会(ICDR:Interagency Committee on Disability Research)
http://www.ncddr.org/icdr/index.html


7-2-3 一般

Policies Relating to Web Accessibility
http://www.w3.org/WAI/References/Policy

W3Cのページ。世界各国のウェブアクセシビリティ関連の法制度を一覧にしている。

The Collected Works of Cynthia Waddell
http://www.icdri.org/cynthia_waddell.htm

シンシア・ワデル氏の論文が多数掲載されている。特に以下をこのレポートの参考とした。
An Overview of Law & Policy for IT Accessibility
Applying the ADA to the Internet - A Web Accessibility Standard
UNDERSTANDING THE DIGITAL ECONOMY
Electronic Curbcuts- The ADA in Cyberspace
The National Federation of the Blind Sues


あなたのサイトはアクセスしやすいですか ?(日本語)
http://www-6.ibm.com/jp/developerworks/web/010323/j_w-mertz.html

IBMのデベロッパーネットワークス中のNatalie Walker Whitlock氏のコラム。米国の法制度とそれにからむ訴訟や関係者のコメントをまとめている。

チャレンジド関連 海外情報リンク(日本語)
http://www.prop.or.jp/heart/heart-overseas.html

社会福祉法人プロップステーションの翻訳チームによるアクセシビリティ関連の海外サイトの翻訳。リハビリテーション法 第508条の概要紹介、米国防省コンピュータ・電子調整プログラムCAPのウェブサイトのほぼ全文の翻訳のほか、研究・開発・支援機関、企業・メーカーなどのウェブページの翻訳が掲載されている。

以上




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