Webオーサリング・ツールのアクセシビリティ対応 石川准
1. オーサリングツール・アクセシビリティ・ガイドライン
2. 市販のオーサリング・ツールのアクセシビリティ対応
2.1 ホームページ・ビルダー Version 6
2.2 FrontPage 2002
2.3 Dreamweaver 4
2.4 GoLive 5.0
1. オーサリングツール・アクセシビリティ・ガイドライン
Webオーサリング・ツールのアクセシビリティは、制作者がそのツールを使用する際のアクセシビリティと、そのオーサリング・ツールを使用して、ユーザーにアクセシブルなWebサイトを制作できるかの2つの面から考えられる。
オーサリング・ツールのアクセシビリティについては、W3Cが2000年2月に「オーサリングツール・アクセシビリティ・ガイドライン 1.0」の勧告を公開している。
このガイドラインは以下の7項目に別れ、それぞれにチェックポイントが付いている。
ガイドライン 1. アクセシブルなオーサリングを行なえるようにする。
ガイドライン 2. 標準的なマークアップを生成する。
ガイドライン 3. アクセシブルなコンテンツの作成を支援する。
ガイドライン 4. アクセシブルでないコンテンツをチェックして訂正する方法を用意する。
ガイドライン 5. アクセシビリティの解決策を全体的なルック・アンド・フィールに統合する。
ガイドライン 6. ヘルプやドキュメントの中でアクセシビリティを推進する。
ガイドライン 7. 障害を持つ制作者にとってもオーサリング・ツールがアクセシブルであることを保証する。
2. 市販のオーサリング・ツールのアクセシビリティ対応
現在、日米で市販されている主なWebオーサリング・ツールで、このオーサリングツール・アクセシビリティ・ガイドライン
1.0の全てに対応している製品はない。日米でマーケット・シェアの高い以下の4製品について、ガイドラインへのおよその対応状況を調べた。
- ホームページ・ビルダー Version 6(日本アイ・ビー・エム)
- FrontPage 2002(マイクロソフト)
- Dreamweaver 4(マクロメディア)
- GoLive 5.0(アドビ)
注1)現在、オーサリングツール・アクセシビリティ・ガイドライン 1.0に最も良く対応しているのは、W3Cが開発しているAmayaであるが、一般的にはあまり使用されていない。
Amayaは、以下のWebページからダウンロードできる。
Amaya Home Page
http://www.w3.org/Amaya/
注2)ホームページ・ビルダー以外の製品は英語版と日本語版が存在するが、英語版と日本語版で機能、付属ドキュメントに差はない。ホームページ・ビルダーは日本独自の製品で、対応する英語版製品は存在しない。
2.1 ホームページ・ビルダー Version 6
開発元:日本アイ・ビー・エム
ガイドラインへの対応
ガイドライン 1
- 「どこでも配置モード」で、画像やテキストなどを任意の位置に配置すると、自動的にCSSのスタイルシートを生成し、スタイルシート内にレイアウト情報を持つ。
- リンク、イメージマップ、ボタン、ラベルなどに対して、ダイアログでタブ順序とアクセスキーを設定できる。
- HTMLソース編集画面に切り替え、ソースを直接編集できる。
ガイドライン 2
- 作成したページの先頭にHTML 4.01 Transitionalの文書型宣言が入り、HTML 4.01 TransitionalのDTDに準じたHTMLを生成する。
ガイドライン 3
- CSSのスタイルシートを使用してスタイルを設定できる。
- 画像、アプレット、イメージマップに対して、ダイアログで代替テキスト(alt)を設定できる。代替テキストを自動生成せず、ダイアログで制作者が設定するようにしている。
- ProTALKER ActiveX コントロールを使用して、音声読み上げ機能を付けたHTMLファイルを作成できる。HTMLファイルにProTALKER
ActiveX コントロールを埋め込んで設定する。初心者でもコピー&ペーストで設定できるテンプレートファイルとサンプルファイルが付属している。再生には、ProTALKER
97 エンジンが必要。ProTALKER 97 エンジンとProTALKER ActiveX コントロールはホームページ・リーダーに同梱されているほか、IBMのサイトから無償でダウンロードできる。
ガイドライン 4
- 標準製品に、アクセシビリティ・チェック機能が付いている。[ツール]メニューの[アクセシビリティチェック]を選択すると、現在開いているHTMLファイルのアクセシビリティをチェックし、結果をダイアログに表示する。ダイアログで問題を修正することもできる。チェックされる項目は、ページタイトル、言語指定などの[ページ]グループ、フレーム内のページタイトルの有無、NOFRAMES
タグの有無のチェックなどの[フレーム関連]グループ、サーバーサイド・イメージマップとlongdesc 属性の有無のチェックの[画像関連]グループ、summary
属性やCAPTIONタグ、THタグなどの有無のチェックなどの[表関連]グループ、[title 属性の有無] グループ、[代替テキスト(alt)の有無] グループ、[その他]グループに分かれ、グループごとにチェックのオン/オフを設定できる。
また、[サイト]メニューの[丸ごとチェック]で、サイト全体のアクセシビリティ・チェックを一度に行なえる。
ガイドライン 5
- 画像の代替テキスト設定、アクセシビリティ・チェック機能、HTMLソース編集機能などは標準製品のメニュー、ダイアログに組み込まれている。
ガイドライン 6
- 紙のユーザーズ・ガイドとオンラインヘルプの両方に、アクセシビリティ機能の解説がある。さらにユーザーズ・ガイドでは「誰もが利用しやすいホームページをめざして」という章で「目の不自由な人が利用しやすいホームページ」「視力が弱い人が利用しやすいホームページ」「体の不自由な人が利用しやすいホームページ」という項目を設け、分かりやすい表現でアクセシブルなページ作成のポイントを説明している。
- 紙マニュアルのユーザーズ・ガイドとチュートリアルのPDFデータをIBMのサイトから無償でダウンロードできる。
ガイドライン 7
- キーボード・ショートカット。
- Webサイト用の音声読み上げソフト、ホームページ・リーダーの体験版がホームページ・ビルダーに付属している。
2.2 FrontPage 2002
開発元:Microsoft Corporation
ガイドラインへの対応
ガイドライン 1
- HTMLソース編集画面に切り替え、ソースを直接編集できる。
- ダイアログでフォームにタブ順序とアクセスキーを設定できる。
- [インデント]が、本来は引用文を表すBLOCKQUATE要素の挿入に不適切に使用されている。
ガイドライン 2
- 作成されるHTMLが、W3CのHTMLのどのバージョンに準じているのかが不明。文書型宣言は自動的には入らない。
ガイドライン 3
- 画像とイメージマップに代替テキスト(alt)の設定が可能。画像の代替テキストを自動生成せず、ダイアログで制作者が設定するようにしている。
ガイドライン 4
ガイドライン 5
- 画像の代替テキスト設定、フォーム・フィールドのアクセスキー設定、HTMLソース編集機能などが標準製品のメニュー、ダイアログに組み込まれている。
ガイドライン 6
- オンラインヘルプ中にアクセシビリティ機能の説明のほか、「すべての方にアクセシブルなOfficeドキュメントの作成について」という項目で代替テキストの意味や色に頼らないWebページ作成のポイントなどが記載されている。
- マイクロソフトのHTML Helpで作成されたオンラインヘルプは、Office 2000まではスクリーン・リーダーで読み上げられないポップアップが使用されていたのが、Office
XPおよびFrontPage 2002では、ポップアップだった項目をテキスト表示に変えたり、ハイパーリンクを少なくして1画面で説明が完結するように変更されており、アクセシビリティに配慮されている。
- マイクロソフトのWebサイトからOffice XPのマニュアルデータを無償でダウンロードできる。
ガイドライン 7
- 音声認識機能で、テキスト入力を行なえる。また、音声でメニュー、ツールバー、ダイアログ(英語版のみ)などの操作を行なえる
- FrontPageのボタンを大きくする機能、ツールバーのカスタマイズ機能などがある。
- キーボード・ショートカットのカスタマイズ機能がある。
2.3 Dreamweaver 4
開発元:Macromedia, Inc.
ガイドラインへの対応
ガイドライン 1
- HTMLソース編集画面に切り替え、ソースを直接編集できる。
- [テキストインデント]が、本来は引用文を表すBLOCKQUATE要素の挿入に不適切に使用されている。
ガイドライン 2
- HTMLに誤りがある箇所を画面でハイライト表示する。
- 作成されるHTMLがW3CのHTMLのどのバージョンに準じているのかが不明。文書型宣言は自動的には入らない。
ガイドライン 3
- CSSのスタイルシートを使用してスタイルを設定できる。
- 画像、アプレット、イメージマップに対して、インスペクタで代替テキスト(alt)を設定できる。画像の代替テキストを自動生成せず、[プロパティ]インスペクタで制作者が設定するようにしている。
ガイドライン 4
- 拡張機能のCheck Page for Accessibility、508 Accessibility SuiteのExtensionをDreamweaver
4に組み込むことで、リハビリテーション法 修正第508条の電子・情報技術アクセシビリティ基準およびWAIのウェブ・コンテンツ・アクセシビリティ・ガイドラインに従っているかどうかをチェックできる。ただし、これらの拡張機能は英語版のみが配布されている。日本語版のDreamweaver
4に組み込んでも動作しているが、日本語版での動作は正式にはサポートされていない。また、チェック結果のレポートはすべて英語で表示される。
ガイドライン 5
- アクセシビリティ・チェックの拡張機能をインストールするとDreamweaverのメニューに組み込まれ、他の機能と同様に操作できる。
ガイドライン 6
- アクセシビリティ関連は、ヘルプ中の「Dreamweaver とアクセシビリティサポート」の1項目のみで、W3Cのガイドラインについて、わずかに紹介しているレベル。Dreamweaverのアクセシビリティ機能には触れられていない。
- [ヘルプ]メニューの[ようこそ]、[新機能]、[ガイドツアー]、[レッスン]の項目は、Macromedia Flashで作成されており、スクリーン・リーダーでは読むことができない。Flashムービーの文字を拡大することは可能だが、表示されるウィンドウを拡大できないため、使いづらい。
ガイドライン 7
- キーボード・ショートカットのカスタマイズ機能がある。
2.4 GoLive 5.0
開発元:Adobe Systems Incorporated
ガイドラインへの対応
ガイドライン 1
- CSS 2.0、WCGA 1.0対応を含むW3C標準のソースを生成できる。
- インスペクタでフォームにアクセスキーとタブ順を設定できる。
- HTMLソース編集画面に切り替え、ソースを直接編集できる。
ガイドライン 2
- 作成されるHTMLがW3CのHTMLのどのバージョンに準じているのかが不明。文書型宣言は自動的には入らない。
ガイドライン 3
- 画像、Javaアプレットに対して、インスペクタで代替テキスト(alt)を設定できる。画像の代替テキストを自動生成せず、ダイアログで制作者が設定するようにしている。
ガイドライン 4
ガイドライン 5
- 代替テキスト設定、フォーム要素のアクセスキー設定、HTMLソース編集機能などは標準製品のメニュー、ダイアログに組み込まれている。
ガイドライン 6
- 画像オプションのALTテキストで視覚障害者についてひと言書かれている以外は、アクセシビリティについては何も触れられていない。
ガイドライン 7
- HTMLアウトラインビューでHTMLを階層状に構造化し、要素と属性を表示、編集できる。
- キーボード・ショートカットのカスタマイズ機能がある。